公的介護保険

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◆ 公的介護保険の仕組み ◆


サービス利用はまず「認定」から

介護保険は、40歳以上の人を対象とした強制保険です。保険料を納め、介護が必要となったときに、保険給付を受けて介護サービスを購入する新しい形の社会保険制度です。利用者の権利として介護を求め、介護サービスの提供者を選択することができます。 従来の行政主導の措置制度から、利用者が「権利」として介護サービスを選択する契約制度へ転換されました。

 
 
人間は年を重ねると、老化にともなって色々な病気にかかる可能性が高くなり、病気
によっては寝たきりになるなど、介護が必要となることが起こってきます。
 
自分も含め、配偶者、親の介護が必要となったときを考えてみてください。経済的な
面やその他からみて、自分や家族だけで支えることができるでしょうか。一時的には
可能であっても長く続けていくのは難しいのが現実ではないかと思われます。
 
そこで40歳以上の人たちみんながお金を出し合い(保険料を負担し)、介護が必要と
なったときに助け合えるようにしよう、介護が必要になっても人間らしく生きられる
ようにしよう、家族の負担を軽減してみんなで支え合おうという趣旨で生まれたの
がこの介護保険です。
 

介護保険は、国が行う公的介護保険と
民間の生命保険会社が取り扱う介護保険
があり、区別するために国が行う方を「介護
保険」、民間のを「介護費用保険」と呼んで
います。
 

介護保険の仕組みとしては、まず40歳以上
の人全員が強制的に被保険者となり、保険料
を負担します。
 
そして、歳をとり介護が必要と認定されたとき、
費用の一部(原則10%)を支払って介護サービ
スを利用する制度です。
 







被保険者の種類
  年齢により2つにわかれています。65歳以上の方を第1号被保険者、40歳以
  上65歳未満の方を第2号被保険者といいます。
 
 【第1号被保険者】
  ・その市町村に住む65歳以上の住民
  ・市町村ごとに決められた所得段階別の定額保険料を支払う
   (保険料の支払い方は年金額が一定の人は年金から天引き、それ以外は普通
    徴収)
  ・寝たきりや認知症などの日常生活上常に介護を必要とする状態や、身支度など
   で日常生活に支援が必要になった場合には、介護保険の給付(サービス)を受
   けることができる。
 
 【第2号被保険者】
  ・その市町村に住み、医療保険に加入している40歳以上65歳未満の人
  ・保険料は、医療保険料とあわせて徴収される(労使折半)
  ・医療保険の被扶養者は介護保険料を負担しない
  ・老化が原因で起きる病気「特定疾病」(初老期の認知症や脳血管疾患など)に
   伴って生じた状態で、3〜6ヶ月以上継続して介護や支援を必要とする場合は
   介護保険の給付サービスを受けることができる。(交通事故など老化以外の
   原因で要介護状態になった場合は対象外)





保険料について
  介護保険料の支払を拒否する事はできません。介護保険サービスを利用する
  しないに関わらず生涯、保険料を支払って行く事になります。
 
  保険料は、介護サービスの量や高齢者の数によって決まりますので、市町村ごと
  に保険料算出の基準額が異なります。(3,000〜4,000円)
 
  第1号被保険者(65歳以上)は、市町村の保険料基準額と本人の年収により算
  出された保険料を年金支給分より差し引かれます。
 
  第2号被保険者(40〜64歳)は、加入の国民健康保険や健康保険組合の保険
  料に介護保険料を上乗せして支払います。 

また、最近の介護保険の利用者増加により、介護サービスの給付が増え、保険財政が厳しくなってきています。そんな背景があり、2006年4月には制度の見直しが行われ、新たな「介護予防」を重視したシステムがスタートしています。
 
内容としては、できるだけ要支援・要介護状態にならないよう、また介護が必要になっても、状態が悪化しないよう「介護予防」を重視したしくみに変わるとともに、新たに小規模多機能型居宅介護や夜間対応型訪問介護などの「地域密着型サービス」や、地域における総合的な相談窓口になる「地域包括支援センター」の創設により、できるだけ住み慣れた地域で安心して暮らせるよう見直しが行われました。


介護保険を申請について
  サービスを受けるためには、「介護なしには生きられません」などと自己申告す
  るだけではダメです。まずは介護が必要であるという公的な「認定」を受ける必
  要があります。
 
  ○ 申請の手続きは市町村の窓口で
    介護保険は、その人がサービスの必要な状態にあるかの認定が必要になり
    ます。
    認定を受けるためには、サービスを受ける本人かその家族などが市町村等の
    介護保険申請担当の窓口で申請します。
 
  ○ 申請代行のできる人
    申請を代行する場合は、必ず介護保険被保険証を持参し、被保険者の住んで
    いる市町村の介護保険担当の窓口で備え付けの申請書類に記入して申請しま
    す。

  ○ 申請代行できる人は以下のとおりです
     ・成年後見人
     ・本人の家族
     ・地域包括支援センター
     ・指定居宅介護支援事業者
     ・地域密着型介護老人福祉施設か介護保険施設のうち、厚生労働省令が
      定めるもの
 
  ○ 認定は申請から原則1ヶ月以内に通知される
    申請後は、審査・判定の結果(「要介護状態」か「要支援状態」か「自立」
    かなど)が原則として申請した日から1ヶ月以内に被保険者に通知されま
    す。
 
    しかし、心身状況の調査の状況や特別な理由がある場合には1ヶ月を超える
    場合もあります。その場合は、理由とあとどのくらい時間がかかるかなどが
    被保険者に通知されます。
 
  ○ 申請した日から支給される
    申請した日からサービスが支給されるまでの日程は、「認定の効力は申請
    時に遡る」と定められていますから、申請した日からサービスを受けていた
    場合は、その日の分まで遡って介護保険のサービスは支給されます。




介護給付
  市町村で要介護の認定を受けて、つねに介護を必要とするとされた人(要介護
  者1〜5)は、必要な介護の度合いに応じた介護サービス(「在宅サービス」と
  「施設サービス」の2種類)がうけられます。サービスにかかる費用の9割は介
  護保険から給付されます。
 
予防給付
  市町村から、要介護状態になる恐れから日常生活の支援が必要であるとされた人
  (要支援者1・2)は「予防給付」として介護予防サービス(「施設サービス」
  のみ)を受けることができます。サービスにかかる費用の9割は介護保険から
  給付されます。
 
  ※ その他に市町村独自の「市町村特別給付」もあります
 



介護認定のランクごとの特徴
  「介護保険サービスを受けたい」と申請した被保険者が、一体どのくらい介護や
  支援を必要としているのか、その程度を測るための定規を要介護度といいます。
  要介護度はまず、大きく「要支援」と「要介護」の2種類に分かれます。
 
  ○ 要介護1の人
    立ち上がりや歩行が不安定。食事や排泄、
    入浴など概ね自立していますが、部分的に
    介助を必要とする人です。
 
  ○ 要介護2の人
    自力では立ち上がりや歩行などが困難。
    食事や排泄、入浴、清潔を保つ、衣服の
    着脱など、金銭管理などでも介助が必要
    になるため、1日に1回は何らかの介護
    サービスが必要となる人です。
 
  ○ 要介護3の人
    起き上がり、寝返りが自力ではできず、
    食事や排泄、入浴、清潔を保つ、衣服の着脱などに全面的な介助が必要と
    なり、夜間か早朝の巡回訪問介護も含めて1日に2回のサービスが必要とな
    る人です。物忘れや大声を出すなとの、認知症による問題行動のみられる人
    も対象になります。
 
  ○ 要介護4の人
    寝たきりなどをはじめ、日常生活の能力がかなり低下して、食事や排他、入
    浴、清潔を保つ、衣服の着脱などが全面的な介助になり、夜間か早朝の巡回
    訪問介護も含めて1日に2〜3回のサービスが必要となる人です。認知症の
    場合は、意思の疎通など、理解全般にわたる能力が低下し、徘徊や昼夜逆転
    などの問題行動も増えてくるようになります。
 
  ○ 要介護5の人
    寝たきりなどをはじめ、日常生活全般にわたる能力が著しく低下していて、
    生活の全般にわたり全面的な介助を必要とする人で、早朝・夜間の巡回訪問
    介護など、1日に3〜4回のサービスが必要な人です。認知症の場合は、理
    解全般にわたる能力が低下しているため、意思の伝達がまったくできなくな
    る場合が多く徘徊などの問題行動も多く出るようになります。




介護保険で受けられるサービス一覧

介護サービスの内容は多様ですが、自宅で暮らす高齢者向けの「在宅サービス」と
施設入所者向けの「施設サービス」に分かれています。
 
 ≪在宅サービス≫
  ■ 家庭を訪問するサービス
   ・訪問介護(ホームヘルプサービス)
     ホームヘルパーが介護者宅で行う入浴・排泄・食事等の介護、その他の
     日常生活上の世話(厚労省令で定めるもの)
 
   ・訪問看護
     主治医の判断に基づき(訪問看護ステーションや医療機関の)看護師等が
     介護者宅で行う療養上の世話と診療の補助
 
   ・訪問リハビリテーション
     主治医の判断に基づき(理学療法士・作業療法士が)介護者宅で行う心身
     機能の維持回復、日常生活の自立援助のための、理学療法作業療法等の
     リハビリテーション
 
   ・訪問入浴介護
     介護者宅を訪問し浴槽を提供して(浴槽搭載の入浴車等を使って)行われ
     る入浴の介護
 
   ・居宅療養管理指導
     医師・歯科医師・薬剤師等が行う療養上の管理と指導(主治医による医学
     的管理、主治歯科医による□腔管理、訪問薬剤管理指導等の厚労省令で定
     めるもの)
 
日帰りで通うサービス

   ・通デイサービスセンターなどへの通所
     特別養護老人ホーム等や老人デイサービスセンターに通い(送迎を受け)
     施設で受ける入浴・食事の提供、その他の日常生活上の世話(厚労省令で
     定めるもの)と機能訓練
 
   ・通所リハビリテーション
     主治医の判断に基づき、介護老人保健施設・医療機関等に通い(送迎を受
     け)、施設等で受ける心身機能の維待回復・日常生活の自立援助のための
     理学療法作業療法等のリハビリテーション
 
施設への短期入所サービス

   ・短期入所生活介護 (ショートステイ)
     特別養護老人ホーム・老人短期入所施設等に短期間入所し受ける、入浴・
     排泄・食事等の介護、その他の日常生活上の世話と機能訓練
 
   ・短期入所療養介護(ショートステイ)
     治療の必要がある場合に、介護老人保健施設や介護療養型医療施設等に
     短期間入所し受ける、看護・医学的管理下の介護・機能訓練等の医療と
     日常生活上の世話
 
福祉用具貸与と販売
   福祉用具(車いす、特殊寝台など)の貸与
   貸与になじまない福祉用具(腰かけ便座、入浴甬いすなど)の購入費の支給
    (上限10万円)
   住宅改修費(手すりの取り付けやバリアフリー工事など)の住宅改修費用の
    支給(上限20万円)
 
居宅サービス計画
   ケアプランを作成する費用については、全額保険給付で自己負担はありませ
   ん。

 
 ≪施設サービス≫
  施設サービスは「要支援」の人は原則対象外になっています。「要介護」の人を
  対象に特別養老老人ホームや老人保険施設に低い自己負担で入所できるように
  しています。
 
  ※ 居住費・食費は自己負担
    介護保険施設に入所している人、デイサービスセンターなどに通所している
    人の居住費や食費については、原則、全額本人負担となりました。
    ただし、低所得者の場合は、所得に応じて負担が軽減される仕組みが
    取り入れられています。
 


在宅サービスの利用限度額
要介護段階 利用限度額
(1ヶ月)
自己負担額
要支援1 49,700円 4,970円
要支援2 104,000円 10,400円
要介護1 165,800円 16,580円
要介護2 194,800円 19,480円
要介護3 267,500円 26,750円
要介護4 306,000円 30,600円
要介護5 358,300円 35,830円

【お役立ち情報】
YOMIURI ONLINE 医療と介護 http://www.yomidr.yomiuri.co.jp/
マネー情報知るぽると「介護保険」の基礎知識http://shiruporuto.jp/life/hoken/kaigo/kaigo102.html








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