■ 自分らしさを演出する個の時代
これまでの葬儀は大勢の参列者への対応に追われ、ゆっくり個人に向き合う時間
がないままに終わってしまうという思いを抱く人が多いようです。そうした形式
主義への疑問と反省から、最近注目されているのが近親者のみで、内輪でつつま
しく故人を見送ろうという家族葬です。
●ゆっくりとしめやかに家族や身内だけで別れのときをすごしたい。
●葬儀の準備や手配にふりまわされず、静かに故人を偲びたい。
●義理の会葬に気をつかわず、心から悲しんでくれる人だけで送りたい。
●華美な装飾より、シンプルなすがすがしい葬儀にしたい。
そういったごく自然な思いを実現するのに家族葬はマッチしています。祭壇もな
しで火葬後すぐに埋葬する小規模なものや、故人の好きだった音楽を流しながら
会食するなどスタイルは様々です。
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(平成21年4月21日 読売新聞) |
死後に通夜や告別式を行わず、遺体を火葬するだけの「直葬」が広がっている。以前は身よりのない人などを対象にした福祉的なサービスだったが、いまや一般化してきた。直葬を積極的に請け負う業者も増えている。
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■ 家族葬の相場(NPO法人全国埋葬支援協議会調べ)
・祭壇、ひつぎ、式場代 30万円
・霊柩車 3万円
・料理(30人分) 20万円
・香典返し(10家族分) 3万円
(合計)56万円
■ 一般的な墓地の特徴
○ 公営墓地
・ 永代使用料・管理料が比較的安い。
・ 自治体が運営するので安心感がある。
・ 宗旨・宗派を問われず、石材店も自由に選べる。
・ その地域の住民であることなどの応募資格制限がある。
・ 募集数が少ない割に応募者が多く、抽選に当たらないと購入できな
い。
○ 寺院墓地
・ 日頃から僧侶から手厚くまつられ、管理が行き届いている。
・ 居住地に近く、交通の便もよく墓参りに便利。
・ 檀家になることを求められ、寺院とのつきあいや布施などの
負担が生じる。
・ 区画が狭いことが多い。
○ 民営霊園
・ 宗旨・宗派を問われず、厳しい資格制限もない。
・ 明るい公園のようなイメージで作られているところが多い。
・ スペースも比較的自由に選ぶことができる。
・ 永代使用料・管理料は公営より高い。
・ 郊外や交通の不便な場所にある場合が多く、墓参りには
時間がかかる。
・ 石材店が指定されており、自由に選べない。
■ 墓地購入時の注意点
○ 墓地の使用規則には細心の注意を
一般に「墓地を買う」とは「使用権」を買っているにすぎません。です
から他人へ転売はできません。また墓地の使用権の取消については、
「管理料を△年間納めなかった場合」や「相続の申し出がなかった場
合」などのように具体的に使用規則に記されています。トラブルの原因
になるところでもありますから、よく注意しておくことが大切です。
○ 墓地と石材店は一体であると知るべし
民営墓地には指定石材店制度というものがあり
ます。霊園の開発段階から出資して、出資に応
じた区画販売の権利を持ち、墓地と一体的に営
業活動を行っています。最初に声をかけてきた
石材店のペースに嵌ることなく、複数の指定石
材店に直接足を運んで見学し、実績や評判を調
べて信頼できるかどうかをよく確認しましょう。
○ 見積書の中身をチェック
石材の種類もピンからきりまで色々です。完成図と照らし合わせ、墓石
以外に外棚や炉・花立・水鉢・香立・ろうそく立といった付属品までよ
くチェックしましょう。代金の支払時期、支払方法、アフターサービス
なども希望条件に合っているかをよく確認した上で契約します。
こうした従来型の一般的な墓地のスタイルの他、最近は墓地やお墓を買わないで埋葬
するやり方も徐々に増えてきています。
■ 樹木葬
死んだら自然に還りたいという希望に沿った葬儀スタイルのひとつで、土の中に
遺骨を直接埋め、樹木を植えて墓標代わりにします。樹木もバラや桜など選べる
こともあるようですので、自分の好きな樹木を扱っているところを探してみられ
るのもいいかもしれません。
≪桜葬≫
東京・町田市の「町田いずみメモリアル」内に、2005年4月にできた東京で初
の樹木葬です。
大きな桜の木を植え、それを共同の墓碑
代わりにする埋葬のやり方です。
個別区画は、使用料30万円、環境保全費
20万円、合わせて50万円。
同じ区画に一緒に入る人がいる場合、2人
目からは使用料10万円のみ。
共同区画は、使用料12万円、環境保全費
8万円、合わせて20万円です。
市民団体・エンディングセンターの正会員専用のお墓ですが、契約は、
エンディングセンター立ち会いのもと、各人が桜葬墓地のある霊園の
管理者「鞄本墓苑開発センター」と直接取り交わします。
http://www.endingcenter.com/
■ 散骨
故人の遺体を火葬した後の焼骨を粉末状にした後、海や空、山中などでそのまま
撒く葬送方法をいいます。遺体の廃棄や墓地以外への埋葬は法的に違法なのです
が、法務省は「散骨」に対し「節度をもって葬送の一つとして行われる限りは問
題はない」との見解を示しました。つまり、葬送の方法として認められたので
す。
ただし、遺骨をそのままの形で散布することはできませんので、遺骨とは分から
ない程度(通常2〜5ミリ程度)に粉末化して、他人の所有地以外に散布する必要
があります。また、私有地でなくても近所の住民や漁民の感情に配慮する必要が
あります。
≪海洋葬≫
文字通り海が舞台であり、遺骨を海に撒いてみおくる葬送の儀式です。漁場、
海上交通の要所を避け、陸地より約3海里以上離れた沖合いで厳粛に拳行する
とされていますが、特に最近では、海外でおこなわれる海洋葬も増えていま
す。場所も、ハワイ・グアム・オーストラリア・バリ島などが注目されていま
す。
費用は1家族貸切で10名程度で30万円位が一般的です。2、3家族が同時に
乗船する合同散骨で10万円位、乗船しないですべておまかせの場合5万円位
となっています。ヘリコプターやセスナ機で空から散骨する場合は、委託が
10万円から、チャーターする場合は、50万円位かかるようです。
≪バルーン宇宙葬≫
私たちの生命の源である宇宙へ散骨することで自然に還るという考え方により、最近注目を集めているのが「バルーン宇宙葬」です。
遺灰(粉末状)を特殊な方法で巨大バルーンに詰めて大空に飛ばし、高度30〜35km (成層圏)付近でバルーンが炸裂することで自動的に散骨されます。
バルーンの原料はゴムの木より産出す
る乳状の樹液でつくられており、日光や水によって分解される100%自然の原
料の為、自然環境にやさしく土に還るバルーン。
遺灰はそれこそ「千の風に乗って」大空を飛び回るのでしょうか。
遺骨の管轄である法務省、厚生労働省も「節度ある方法であるならば禁ずるも
のはない」としているようです。又、バルーンを飛ばす事に関して管轄の環境
省は「バルーンリリースを制限する意図はなく、法律で規制することは考えて
いない」としてそれぞれ法的な問題はクリアーしています。
そのような背景から、バルーン宇宙葬を取扱う葬儀社は最近増えてきていま
す。費用は20万円程度が一般的なようです。
【株式会社バルーン工房 バルーン宇宙葬の会】
http://www.balloon-sou.com/
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